へうげもの 第三十九話(終)『わびスキーが、お好きでしょ。』

左介の介錯で利休が切腹したお話。
最期まで「客人をもてなす」ことを実践した利休と、その師の心を理解した左介の二人だけを描いた今回は、最終回に相応しいエピソードでございました。
利休の数寄からすれば左介のソレは対極なのでしょうが、自分の後をなぞっただけの弟子では面白味もないと悟ったのでしょうね、だから左介に目を掛けていたんだと。
もっとも最初からそうだった訳ではなくて、やはり宗二を死なせてしまった辺りから自分の生き方に疑問を抱いたってことなんでしょうか? でもそれ以前から毛色の変わった左介を弟子にしていたのですから、予感めいたもの、あるいは本能で正反対の数寄を認めていてのかもしれませんね。
数寄に対するアプローチは正反対でも、根っこの部分、己の好みに対する揺るぎない自信という部分では共通しておりましたし、既成概念の否定という処も同じだったのでしょう。
首を刎ねたことで弟子は師の意志を継がなければならないという重い荷物を背負うのでございまして、ここからが「へうげもの」として左介の生き方が本番でございます。
何故ここで終わる!
本来であれば「NHKだから2期もあるか」と考えるところなのですが、主題歌を歌っていた歌手がムニャムニャ(笑)だったり、「原作者」がいつのまにか「原案者」になっていたりと、本作はなかなか不幸な展開の連続だったので続編は難しいでしょうねぇ。
本作はアニメといたしましては動かない作品でございましたが、その分画面構成や色使いに陰影などに凝って下さいまして、動いていないことが気にならない作品でございました。
さらに田中・サンダース軍曹・信夫さんが主役(!)のアニメ作品でもあり、男率が異常に高い(笑)作品でございまして、オールド声優ファンといたしましても楽しませていただきました。
色々障害はあると思うのですが、関係各位のご尽力で是非とも「この後の古田織部」を見せて頂きたいものでございます。