こばと。第十五話『・・・秘めたる祈り。』

 アパートの管理人・千歳から折り紙を貰った小鳩は、それをよもぎ保育園へ持って行き清花先生へ渡そうとした時、清花先生が倒れてしまった。いつになく動揺する小鳩は子供たちから教えて貰い、折り紙で千羽鶴を清花へ贈るのだった、というお話でした。
 なんと申しましょうか、ここでこの問題を描くのかと素直に感心いたしました。それは小鳩がしている「癒す」という行為の意味を実感していなかった、ということでございます。正直これまでそんな事を気にもしておりませんでした(笑)
 多分この行為の意味を掘り下げる必要はないのかもしれません。目的は「こんぺいとう」を集める事ですし、小鳩の周りの人間関係や「いおりょぎ」と「小鳩」の秘密だけでも24回のシリーズでは十分な分量は確保されておりますから、そこだけに焦点をあてて物語を進行しても問題はないでしょう。
 ですが今回あえてこのエピソードを持ってまいりました。侮っておりましたなぁ、素直に謝っておきます。
 小鳩は今回人の温かさに触れ、そのぬくもりに癒されて本当の「癒される」ことを知ります。知識ではなく実感として。これが一番重要なことなんでしょう。そして体験した「癒し」は(当然)小鳩にも影響を与えると思いますのでこれからは今までと違った「癒し」を見ることができるかと。
 しかし残すところあと9回でございます。どうやら小鳩の記憶は消えていて、その過去には辛い思い出がありそうですし、清花先生のよもぎ保育園の前途にも暗雲が漂っておりますし、いおりょぎの過去の仲間との確執。そして本作の大命題「ビン一杯のこんぺいとう」
 これを綺麗にまとめるのかー、大変でございますね。もっともここのシリーズ構成と脚本陣、さらにアニメーション監修のお名前を見ておりますと、それが杞憂である事は一目瞭然でございます。