こばと。第十四話『・・・黄昏(たそがれ)の探しもの。』

 よもぎ保育園恒例の芋ほりに出向く小鳩。楽しく芋ほりに興じていたけれど、ひとりの見知らぬ少年が畑から芋を持ち出そうとしているところを発見。声を掛けると逃げ出してしまった。保育園に帰って美味しくお芋を頂くが、大量に持ち帰ったので近所におすそ分けをすることに。藤本と二人で配っていると再びその少年と出会うのだった。そして、というお話でした。
 今回も寓話の基本に則ったお話でございました。「表面的なことだけに目を向けないで、本質を考えましょう」といったところでしょうか。ただし、お話としてはやや弱かったかな?といった感じではございました。
 まず母子二人暮しの啓太が祖父と暮す事になった理由が不明。「節約」という言葉が一箇所だけ啓太によって語られておりましたので、おそらく経済的理由なのでしょうが、そのことを絵で見せなかった事で啓太の精神的負荷の度合いが伝わってまいりません。ですから啓太が祖父に反発して家出をしたという行為も単なる「わがまま」にしか見えませんでしたが、これは作者の意図するストーリーとも考え難かった訳でございます。
 この辺、啓太の心理描写をもう少ししていただければ、ラストの「じいちゃんは僕の事を考えていてくれたんだ」も感動的になったように思えたのですが・・・。
 ただし、今回は「啓太と祖父」のお話を見せておいて、実は「小鳩と藤本」の関係を見せたのだといたしますと、これはこれで。藤本も啓太の祖父も「口では嫌な事しか言わないけれど、それは嫌な事ではなくて相手のためになることなのだ。ただ丁寧に説明してくれないから誤解されてしまう損な人」と見立て、これをもって小鳩=啓太とし、二人の距離も近づいたとの暗示かもしれません。
 残り10回で小鳩の過去ですとか目的なんかも全部描けるのか、少し心配になってまいりました。ところで最近は町中で焚き火は禁止らしいのですが、芋焼く描写は大丈夫なのかな?