獣の奏者エリン 第47話『清らかな夜』

 籠の中で生まれた鳥は外の世界に興味はない。鳥であればそれでも構わないが王族には生まれたからには背負わなければならない責務があるのだ。…とセィミヤに命がけで諭すエリンのお話、かな?
 ほぼ全編セィミヤとエリンのふたりだけで、しかも台詞ばかりという先週以上の地味な回でございましたが、それでいていつも以上の緊迫感を感じさせてくれたところに演出の重要性を見た思いがいたします。
 前半早いところでナソンが現れてエリンに「掟」の重要性をもう一度説きますが「あなたは見ていただけ」と全否定(笑) ここはナソンや霧の民だけに向けられたものではなく「掟」を守ることだけに汲々として未来を見ようとしないでいる者すべてに対して向けられたものでしょうし、もしかすると画面や本の向こう側にいる我々に向けられているのかもしれません。
 「変わらないこと」は多少窮屈ですが面倒なことはないですし心地よい。「変わること」は新しく始めなければならないことは多いですし、それは摩擦があり困難も伴なう。そもそも「変わった」からといって現状より良い選択とも限らない。…などと考えて動かないおっさんのような「上がりを決め込んだ大人@滝沢朗」を糾弾しているかのようで耳が痛かったです(笑)
 そして何度も挿入されるかつてダミヤが贈った宮殿の模型がセィミヤのいる世界の喩えで、冬だというのに一匹だけ冬眠もせずにいる蛙が「自身のおかれた立場すら理解していなかった」セィミヤの喩えだといたしますと、回ることのない風車は彼女のこれからに対する暗喩でしょうか。不吉過ぎますが。
 困難な道を往くエリン。彼女が「やらなければならない」と決意するに至った内からの衝動の直接の原因は母親から感じ取ったものだったと思いますが、遥か過去のお話で霞がかかってしまっております(笑) お正月に集中再放送をして下さるようなので、もう一度確認しなければ(原作本も読まなきゃ)。
 残り3回ですか。その道の先がどんなに辛いものでもエリンは歩いて行くのだとすれば、目撃者として目を逸らさずに見届けなければなりませんね。