獣の奏者エリン 第46話『ふたりの絆』

 物語といたしましては先週から一晩しか時間経過がありませんが、二つの魂が触れ合い溶け合うには十分な時間でしょうか。残り五話でありながらこのお話で一話丸々使う判断をした浜名監督と、それに応えた構成の藤咲さん脚本の吉田さん、絵コンテ演出の布施木さんを始めとするスタッフ各位の頑張りが結実したお話でございました。
 仮にこの回で初めて「エリン」と言う作品に接した場合には「退屈」だったかもしれませんが、ここへ来るまでの45回を観てきた者といたしましては感慨も一入というものでございます。これが「継続」の力なんでしょうねぇ。
 この作品は「王獣」「闘蛇」という架空の生き物が登場しますし舞台も架空の国ではございますが、そこで生きている人間に関しては「ありえない力」が作用する事はありません。ですからこの二人に人知を超えた力が働いてハッピーエンドになることは無いと考えております。
 己の持った力と知恵だけでこの難局を乗り越えるしかない訳で、それが成功するかどうかも分かりません。ですが不思議と物語の先を見通せない事に対する苛立ちはありません。それはキャラクターが作品の中で息づいており、どのような結末を迎えてもこのキャラが選んだ道なのだと納得できるだろう事を確信しているからでございます。
 ・・・今回はおっさんにとって一番感想の書き辛い「愛」についてのエピソードでしたのでこの辺でお茶を濁させていただきますが(笑) イアルとエリンのラブシーンでリラン一家の空気を読んだ描き方が最高にツボだったことを書き残しておきましょうね。