生徒会の一存 第9話『私の生徒会』

 「物語」というものが「始点」から「終点」へ向かって進行するその過程だといたしますと、私にとって面白い物語とは「過程」の世界設定と登場人物の個性が渾然一体となって進行するソレでございます。
 「世界設定」と「登場人物の個性」のどちらも優れていることに越した事はありませんが、仮にどちらか一つを選ぶとすれば「登場人物の個性」の方でしょうか。ですから個性付けのために十分なエピソードが用意されるとするならば、多少物語の進行が停滞したとしましても我慢はできると。
 さて、ではございますが本作は上記の理屈が通用する作品だとは考えておりません。もちろん広義においての「始点から終点」という制約から逃れられているとは思いません(学校を舞台にしている時点で「入学から卒業」という制約は存在するのですから)が、狭義においては「始点も終点も無い」物語かと存じます。
 あくまで「生徒会室での他愛も無い会話」が本作の物語であり全てであると仮定いたしますと、実はキャラの個性というものはステレオタイプで構わないし、むしろ深く掘り下げる事で「物語」の進行を疎外しかねないのでは?と感じておる次第でございます。
 本作が日々の変化の中でキャラが成長して行き、馬鹿をやりながらも青春時代を描いているというのでしたらこの限りではございませんが、「生徒会室での他愛も無い会話」こそが核心としか書きようの無い作品にしか見えませんので、この通り一遍なキャラの描き方で問題はありません。
 ですから無駄にキャラを掘り下げようとはせず、会話のネタとそのネタに対するキャラの予想通りの反応や予想外の反応にこそ力を注いでいただきたい!・・・と、今週のシリアスパートを観ていて思いました。
 いや、あれをやるのでしたら逆にギャグパートが邪魔でしょ?という話なんですがね(笑)