獣の奏者エリン 第44話『アクン・メ・チャイ』

 「エリン決意す」の巻。本来の視聴対象者であるお子様たちにこの緊迫感が伝わったのか分かりませんが、伝わったと信じたいですし、仮に今伝わらなくともいつか伝わると信二じたいものでございます。
 本編はダミヤとエリンの緊迫の対決がメインでございました。「王獣部隊を」と迫るダミヤに対して「アクン・メ・チャイの自分でなければ無理です」とかわすエリン。「お前と同じ育て方をすればいい」と言い「一度だけの奇跡」を強要するダミヤに対し「それで問題は解決するのか」と問い返すエリン。
 逃げ場を失うエリンにダミヤのとどめは「カザルム学舎人質作戦」、さらにユーヤンまで引きずり出す念の入れよう・・・悪人はこうでないといけません(笑) この辺のやり取りは理詰めで上手い流れでございました。ただダミヤは悪役にしては喋りすぎでエリンに最後の反撃のヒントを与えてしまいましたが。
 ダミヤは悪役然とはしておりますが、単純な悪役というわけでもないようで、う〜ん、強いて書けば勘違いの憂国の士でしょうか。・・・いや夢見る独裁者? 自分自身の欲望と言うよりも国の現状を憂いての行動のようですが、権力の頂点にいる人の強い思い込みほど傍迷惑なことはありませんから、その意味では単純な悪役よりも始末は悪いですね。
 ですが、彼が単純(ステレオタイプか)な悪役として描かれていないからこそ、本作は奥行きのある物語かと。誰かが悪いとかではなく、どうしようもない運命の中でエリンがどう生きるのかに焦点が当てられているように感じられるのでございます。
 今回「アクン・メ・チャイ」の説明に際して久しぶりのアケ村が描かれておりました。サジュがお母さんになっていてエリンを想っていたシーンでは胸が熱くなってしまいました。・・・さり気なくこんなシーンを挿入するなんて、上手いなぁ。エリンの肩には今は帰ることも出来ない故郷の幼なじみの運命も圧し掛かっているということなのかもしれません。
 それにいたしましても、サジュはともかくといたしまして、夫のチョクは面影が無さ過ぎ(笑) 良い男になりましたなぁ。
 次週はイアルとダミヤの対決が描かれるみたいですが、この二人が同一フレームに納まりますと「沖田VS桂」を思い出してしまうのは某作品に毒されているためでしょうか?(笑)