鋼の錬金術師 第32話『大総統の息子』

 追われる者は拠り所を求めて北を目指し、追う者はその後を歩む。さらに求める者も同じく北を目指し、そこに新たな出会いが待ち構えている!・・・といったお話でした。
 反撃の準備を整えてグラマンと会うマスタング。枯れているように見えて心は野心で溢れているというグラマン、いいですね。マスタングに不足しておりました「老練」ですとか「老獪」といった人物が補給されました。権謀術策渦巻くセントラルで戦うにはこうしたキャラが必要不可欠(力押しであれば必要ないかもしれませんが、居れば物語に奥行きが増しますからね)ですから、これで彼も本格的に戦えそうです。
 今回総統邸でアルたちとブラッドレイが対峙するシーンがございましたが、ここが絶妙でございました。アニメの場合描かれた表情だけで雰囲気や感情を表現するというのが一番苦手だと思うのですが、ここもブラッドレイの表情だけでは彼の心の内を窺い知ることが出来ませんでした。
 あの場面、ブラッドレイが息子であるセリムに対して見せる複雑な表情は、ブラッドレイの胸中は多分実に複雑であり、それはあたかも「人間」そのものである、という事なのでしょう。ですからあの場面で心の中を簡単に読み取れるような過剰な演出や、表現プランも使用しなかったのでしょう。
 アニメで心理描写をするという時は、作画だけでなく背景やカット割、レイアウトに声優さんとSE、あらゆるものを使いませんとなかなか上手くはいきませんが、ここではサラッとありきたりな表現で済ませることで、逆に(視聴者が)様々に読み取れるようにしたのだろうと。そうすることでブラッドレイの複雑さを表現したのではないかと考えました。
 さて次週はいよいよOPとCMに出ている(笑) 彼女が登場するようでございます。・・・姉? ええっー!!