こばと。第五話『・・・ホタルのやくそく。』

 三日連続で「約束」絡みのお話が続きます。本作の約束は「守ることが出来なかった約束」でございました。
 素直に視聴したならば、このエピソードは恋人との約束を守れなかった童話作家もりそうたろうの「傷ついた心」を小鳩が救ったお話でしたし、最後の幻想的な蛍の乱舞も恋人なおこの想いが見せた奇跡として受け取る事ができます。事実そうたろうさんはもう一度筆を執ったのですからハッピーエンドとして受け取る事が正解だと思います。
 ただ、歳をくってしまいますとそう素直に受け取れなかった事も事実でございまして、やはり「守ることが出来なかった約束」ですとか「果たせなかった約束」というものは心の隅で燻り続けてしまうものなのでございます。
 まして約束を交わした相手が死んでしまったといたしますと、その悔恨の情はいかばかりだろうと忖度いたしますと、ねぇ。CLAMPの作品に「黒い」ものを感じるのはこういうところなんだろうなぁ。表面上は「めでたしめでたし」なのですが、一皮捲りますと(そしてそういう余地を残しておりますし)悲しみは簡単に消えませんよと突きつけられているように感じてしまいます。
 例えば諍いで別れた恋人たちが小鳩の奮闘であの場所で再会し、傷ついていた心(しかも二人分)が癒されるというお話でも宜しかったはずですが、そうしないですからねぇ(笑) 何故殺した!と。・・・ね、黒いでしょ(笑)
 安易な「魔法」が使えるのかどうなのか分かりませんが、自力で何とかしようとする小鳩は好ましく思えます。絵も美しいですし、あまりお話に「黒さ」を出さないようにしていただきたいものでございます(単に「ひねくれた」見方をしなければいいだけのことですが)