獣の奏者エリン 第42話『セィミヤの涙』

 ああ、拗(こじ)れちゃったよ・・・、そりゃ拗れるよな・・・と居た堪れない気持ちになりながらシュナンとセィミヤの愁嘆場を鑑賞。
 視聴者というのは少しずつ明らかになって行く物語を主人公と同じ速度で歩んでまいりますので、登場するキャラクターがどういった役割を背負わされているのかはその時になりませんと分かりません。
 よく出来た作品は、人物配置・性別に至るまで意味があるという事は経験的に知ってはおりますが、この作品もここでセィミヤが女性だったことに意味があったのだと知って、改めて創作者*1という方々の能力を思い知らされました。
 あそこでセィミヤとシュナンが恋仲でなかったら、いっそのことお互いが憎しみの感情しか持っていなかったなら、この政略結婚は成就していたのでしょうか?
 まあ、この辺は創作者の腕一つですから如何様にも出来たとは思いますが、この「お互いの立場を考えたときの最善手、そこに顔を出す男と女の感情のもつれ」というお話の持って行き方のほうが自然でしたし悲劇性も増していたかと。
 典型的お姫様のセィミヤに王としての資質を求めるのは酷かとも思いましたし、彼女だけの罪ではなくて歴代の王たちの歪みが彼女に背負わされているのだと思いますと、一層彼女が哀れでございます。
 でもなぁ、いきなり傷病兵を連れてきて現実を見ろ!とやっちゃうシュナンもシュナンだよねぇ。ですがあれも生真面目なシュナンらしいと納得はできましたが。
 相変わらず土曜午後6時台の教育テレビで放送しているとは思えないほど厳しい内容でございました。この展開でハッピーエンドはありえないと確信いたしましたが、良い意味で期待を裏切ってくれると信じて付いていきたいと思います・・・、って次週予告は今週より酷い事に!

*1:原作者という狭い意味ではなく、この作品に関っている人という意味でございます。