鋼の錬金術師 第30話『イシュヴァール殲滅戦』

 今回は直接のストーリーには関係のないお話でしたが、マスタングホークアイの関係と、彼らが目指すものとその動機や挫折が描かれておりました。
 エドたちが目指すものとは全く違っておりますが、目的に辿り着くために困難は同じということの暗示なのでしょう。その道を極めるために歯を食いしばって血の海を渡る覚悟をおネーさんが弟に説いているような構図に涙を禁じえませんでした(一部誇張してあります)
 ここに等価交換の原則を適用いたしますと、犠牲にしてきた「心」が大きければ大きいほど得るものも大きいと考えられますが、マスタングにしてもホークアイにしても最終的に行き着くところは「破滅」という救いのなさでございます。・・・格好いいなぁ、まさにロマンチックな愚か者*1の体現者でございます。
 こうして観てまいりますとこの作品は「エド視点」「アル視点」「マスタング視点」・・・他の登場人物、もちろんホムンクルスであろうと誰であろうとどこからでも切り口を見つけられる実に多層的な構造をしていながら、それでいて決して散漫にならずに実に絶妙なバランスの上に成立している作品なのだと改めて感心いたしております。
 本作の底に流れているものは万人に突きつけられる永遠の問いで、それはとても深刻な問題のように感じますが、それでいながら作品としては要所要所に笑いを散りばめ決して暗い印象を与えないように腐心しております。・・・こういう作品をオリジナルで作らないと、この国のTVアニメーションの命脈も尽きてしまうのではないかと心配にもありますが、それは別のお話ですね(笑) 

*1:当ダイアリーではお馴染み(?)のシュタイナー大佐にヒムラーがつけらた最高の褒め言葉