獣の奏者エリン 第34話『イアルとエリン』

 ガザルムに負傷した王獣が運ばれ、その王獣にキリクがチチモドキから抽出した毒を飲ませたが、エリンは過去の経験からその毒の正体と解毒する薬草を言い当てた。その頃王都でもセィミヤの侍女も同じ毒で苦しんでいた。エリンとイアルは同じ薬草を求めて王都の薬問屋を訪ね歩くのだったが、というお話でした。
 暗殺の手段に毒を使うというのは古来よりポピュラーなものですが、これは毒殺が成功すればよし、失敗しても一定の効果があるからなのだろうと今回観ていて納得いたしました。毒は人を殺すためだけでなく人の心を侵して行くようでございます。
 毒を盛るということは暗殺者は身近におり、姿なき殺人者の正体を探すということは誰彼なく疑う事であり、心の平穏は失われ猜疑心だけが一人歩きしてしまう。結果広義において目的は達せられるのかもしれませんね。こうやってジワジワと緊張感を増す作りは長いシリーズを無駄に消化していない証拠だと思います。
 橋の上のイアルとエリン。鳥が巣に帰れないのは理由があるといったお話は様々なバリエーションがありオリジナルアイデアではございませんが、エリンの観察眼を生かしながら危機を回避するエピソードとしては真っ当であり説得力もございました。
 今回のエリンは過去の経験を余すところなく生かしておりました。それがあってこそ生きてくるお話作りには「ご都合主義」と無縁なのでございます。この作品をストレスなく視聴できる原因はこういう所にもあるのでしょうね。
 来週は「あたらしい命」ですと!? リラン御懐妊なのかっ!(笑)