獣の奏者エリン 第26話『リランの心』

 今週も盛り沢山な内容でございました。
 前半はあまりに忙しいため勉強が疎かになっていたエリンが、周囲の助けもあって崖っぷちで踏みとどまるお話。後半はエリンとリランの心が繋がるお話でしたが、前半の「エリンが試験勉強のためあまり構ってくれなくて寂しくなったリラン」が後半で「自ら二人の距離を飛び越える」に生かされておりました。
 前半部でもユーヤンの失恋騒動を提示したあと、エリンが自室で勉強できなくなり、そこからクラスメイトやトムラ先輩の助けを借りる(トムラ先輩の場合下心が…(^^;)といった自然な流れに感心いたしました。ひとつひとつの出来事は独立したエピソードのように見えて、それが全て繋がっているというプロの脚本家の仕事でございました。吉田玲子さんか、流石です。「黒神」のことは(ry
 それにいたしましてもエリンとリランのファーストコンタクトのシーンは緊迫感があり過ぎる演出でございました。もともとリランのデザイン自体は「威厳」ですとか「畏怖の対象」寄りですから可愛いわけではございません、よね?(笑) ですからあのシーンも「リランがエリンを襲うわけはない」と思っておりましたが、そうした視聴者の思惑を吹き飛ばすようなシーンでございました。特に影を使って見せるところは秀逸でした。
 さて、二人(?)の心が通じ合って良かった良かったと単純に喜んでばかりもいられません。今回もエサル先生の口を借りて「王獣は決して人には慣れない」と言わせておりましたが、今回でこれが「嘘(少なくとも例外が起きてしまいましたので「真実」ではなかった訳です)」であることが判明いたしました。
 これは神王陛下の権威を維持するための方便だと予想されたことでございますが、その「禁」を破ってしまった事の危機感はエリンには(そしてエサル先生にも)ございませんでした。ですが今後これが問題になってしまうような気がいたします。
 今回のようなエピソードを観ていてそんな風に感じるのは、そう感じる理由をこれまできちんと描いていたからでしょう。手抜きの無いお仕事は本当に気持ちが良いと感じ入っております。