獣の奏者エリン 第24話『嘆きの歌』

「トムラ先輩って時々年寄りみたい」
 折角差し入れのお弁当まで持ってきたというのにこの言われ様とは、トムラ先輩哀れすぎます(笑) だからもっと積極的にいかないと(ry
 といった微笑ましい描写が前半にございましたが、今回のエピソードはそれすらも忘れさせるほど厳しいお話でございました。
 前線で戦い兵士の死、それも敵味方かまわず見てきた兄・シュナンの考えと、あくまで神王陛下に忠節を尽くそうとする弟・ヌガンの考えの対立は「リョザ神王国の維持」という目的では同じなのですが、アプローチと経験の違いで決定的になってしまいました。
 兄弟の間で決定的になった不和を、共に植えた木を切り倒し、そこから川に落ちた二枚の花びらが離れて行く様で表していたところは哀しく美しいシーンでございました。子供の頃同じように感じていた心が離れて行く。「時」や「背負うものの違い」が「あの頃の気持ち」を捨てなければならない残酷さ。こうした描写に躊躇いが無いことが上橋さんの面目躍如なのかもしれません。
 今回一番感心したのは神王(指示したのはダミアでしたが)から送られた花を骸の上に撒き散らせていた「狂った」兵士の描写でございました。うん、当スタッフの本気を改めて確認。このご時世では勇気のある描写ですが、あれがあるのとないのではシュナンの心の動きを伝える効果に雲泥の差がありますから必要な描写だと思います。誰が何と言おうとも私は断固支持いたします。
 今回のお話を見ておりますと、エリンの「幸せな時間」も風前の灯のような気がしてまいりました。今回「お前たち、これから酷い話になるけど覚悟はいいか?」と問われているように感じたのは気のせいでしょうか?