蟲師 第20話『筆の海』

 いやに余韻溢れる(これはいつものことですが)終り方だと思いましたら、最初の地上波放送はこの回が最終回だったようです。それでか。
 狩房(かりぶさ)家第四代筆記者・淡幽(たんゆう)。 彼女の右足には生まれつき墨色の痣があり、その痣には「禁種の蟲」が封じられていた。一族に仕える老蟲師「薬袋(みない)たま」から告げられたその蟲に関する真実は、悲しく残酷な物語だった、というところから始まるお話でした。
 今回は抗えない運命に立ち向かう淡幽が主人公。ギンコはいつもの通り狂言回しかと思っておりましたら、これは良い恋話でございました。歳を取ったとき二人寄り添い蟲を訪ねて歩き回る・・・、なんというプロポーズ(笑)
 一応の最終回ということもあってか、描写も気合が入っておりました。見せ場は淡幽が「言葉」を「文字」にして紙に留めるシーン。

(この「文字」が淡幽の右足に宿る「禁種の蟲」であり、淡幽が蟲師によって語られる蟲の話を聞き「紙」に定着させることで少しづつ「眠らせ」ているシーン)
 この「文字」がウニウニと動くシーンは、CGだから簡単なのかもしれませんが「見せ方」のセンスが見事でございました。物語自体が素晴らしく、その魅力を余すところなく表現するアニメーター・美術スタッフ・CGオペレーターそして演出の声優さん。オーバーではなく奇跡に近い作品でございます。少なくとも「おっさん」にとりましては(笑)