獣の奏者エリン 第19話『カザルムの仲間』

 予想していたものとは違ったエリンの試練でございました。ですが、こうして描かれますと「確かに・・・」と納得できるエピソードであることが(予想が当たらなかったにもかかわらず)嬉しい。なぜならこのエピソードは「言われるまで気がつかなかったけれど、言われてみるとその通り」だったからでございます。
 「良い先生」には恵まれていたエリンでしたが、集団の中で暮すことの難しさは未経験。知識とか考察というものは「個」で学んだ方が伸びるように思いますが、人との結びつきということは人の中でしか学べないものでございます。そして人はひとりでは生きていけないということは既に描写済み(村の中で暮すときの掟の描写や、ひとりになった時ジョウンに救ってもらった描写)でしたが、それをエリンに自覚させるためには避けて通れないエピソードでございます。
 エリンの成長をひとつひとつ段階を踏んで本当に丁寧に作られているのだと改めて感じました。そしてやはり「尺」はどの作品でもある程度は必要だと痛感いたしております。「企画」して「制作」して「消費」して「おしまい」では作り手も観客も悲しすぎます。「尺」とは単に制作本数のことだけではなくて、制作に至る時間も含まれているのですから。このご時世ですから制作本数を絞って企画段階で「時間」をかける時期にきているのではないだろうか? などと本作の展開の見事さに触れるたびに考えてしまいます。
 さて、本当は在校生と転入生のもっと「ドロドロ」した陰湿なものを想像していたのですが、それでは別の番組になりそうですし(笑) そもそもこの「エリン」という作風に合いませんしね。運命は過酷なのかもしれませんが、人には恵まれているという事がこの後のエリンにどういった影響を与えるのか、とても楽しみでございます。来週は「運命の王獣」との出逢いなんでしょうか? 、待ち遠しいですね。