蟲師 第18話『山抱く衣』

 アニメというものが深夜や早朝に押しやられ、もはやファン以外の人の目に触れなくなってしまいましたが(例外はあります)、そうした中でも「一般人」が観たとしても楽しめそうな作品は多々ございます。
 本作などは夜9時台に放送されていたら、日頃アニメなどには興味のない方も楽しんで頂ける筆頭のような気がいたします。テレビ局の編成はもう少し考えた方が宜しいのではないかと思うのですが、どうでしょう。
 今回は羽織の裏地に書かれた「絵」に宿る蟲のお話。ですが当然のように蟲は口実で、故郷を捨て絵に打ち込んだ男の後悔と再生が主題でした。いつだって愚かで愛すべき人間が描かれております。
 「人は土から離れては生きて行けない」とは誰の言葉だったか。それは今回登場した蟲・産土(うぶすな)も同じで、人・土地・自然が一体となって暮す意味も内包するストーリーに感心させられました。
 失ってから気付く大切なもの、今回の主人公「塊」は故郷と家族を無くしたけれど、姉の残したトヨが救いとなっておりました。そして何事もなかったかのように「山」は今日もそこにある。素晴らしい終り方でございました。