蟲師 第17話『虚繭取り』

 今回はなによりアイデアの見事さに感心いたしました。「虚繭(うろまゆ)」というものを使った通信、その「ウロさん」が作り出す「虚穴(うろあな)」(うろには「洞」もあり、そのイメージがいかされております。ダブルミーニングというやつですね)ワームホールを連想させる設定。創作者の発想の豊かさにはいつも驚かさせられますが、このお話は本当に凄い!
 ただ、アイデアが見事と思うことは多いですが、そのアイデアがお話に生かされていなければあまり意味がございません。しかし本作では杞憂。見事な仕上がりとなっておりました。
 自分の過失から「虚穴」に落ちた姉「緒(いと)」の帰りを待ち続け、虚しい努力をする「綺(あや)」と、人の限界を説くギンコ。帰ってきた「緒」は歳も取らず、記憶も失っているはずですから完全なハッピーエンドではありませんでしたが、それも運命(さだめ)というものでしょう。相変わらず一筋縄では終わりません。
 ただ一点、虚繭が「ふたつの閉鎖空間を移動する」という設定があるのなら、双子の姉妹「緒と綺」という設定も利用できなかったのかなー、と妄想してしまいました。いえ、良い代案があるわけじゃないのですけれど(笑)
 「ああっ、この後が観たい!」と感じさせながらの終幕。余韻に浸りながら今日も良い夢が見られそうです、おやすみなさい。