蟲師 第10話『硯に棲む白』

 ギンコの友人・化野の蔵へ好奇心から忍び込んだ村の子供たちが次々と倒れた。原因は蔵の中にあった「硯」に閉じ込められていた(眠っていた、が正しいかもしれません)蟲らしいが、化野はギンコに調査を依頼する。ギンコは硯の銘を頼りに職人を見つけ蟲の正体を知った、というお話でした。
 いつものように今回も「雲喰み」という蟲自体には全く悪意がございません。きっと昔は蟲と人の距離がうんと離れていて交わることもなかったから、お互いが干渉することもない時代があったのだろうと夢想してみたり。人知の及ばないものがいる世界というのも悪くはございません。…人には迷惑ですが(笑)
 今回のモチーフは入道雲なのでしょうが、創作者の発想というものに感心させられることしきりでございます。ありきたりなものしか連想できないことが悲しい(笑) そしてそれと同等に感心させられるのが美術も含めた作画でしょうか。
 「雲喰み」が空に帰ってゆく場面の絵の美しさは…。いえ、ここに限らず本作の場合アニメーションの「絵の説得力」が原作の良さを何倍にも引き出していると思います。
 漫画とアニメは同じ「絵」を使って表現する媒体ではございますが、その特性の違いを理解しませんとおかしな事になってしまうことがございます。一番顕著なところは「こま割り」と「タイミング」でしょうか。漫画の「こま割り」は時間を切り出すことのできる優れた手法で、読者はその時間の長さを自由に選べるのですが、アニメの場合は監督の差配に任せるしかなくなってしまいます。
 ここが最大の問題点でございまして、監督と相性が合うか合わないか、…これはどの作品でも同じでしたね。 私は「長濱博史」さんと相性がよくて本当に幸せでございます(笑)