蟲師 第7話『雨がくる虹がたつ』

 内容の地味さは今に始まった事ではないのですが、いつも以上の地味さにその原因を考えておりました。そうか、おっさんしか画面に出てこなかったからですね(笑)
 虹を追いかけ続けた父親の後を追って、「虹郎」もまた虹を追いかける旅に出たというお話でした。男の子にとって身近であり遠い男親に対する様々な感情を、「虹」というある意味もっとも似つかわしくない美しいもので表現する意外性に、創作者の発想の素晴らしさを再確認いたしました。クリエーターって凄いですね。そしてまた、アニメでありながらギラついた表現ではなく淡い色彩を選択しているスタッフにも感心。このセンスが好きでございます。
 しかし改めて考えますと、この地味な内容の作品をアニメにして放送したという事実が奇跡でございます、しかも民放ですし…。追い求めていた物が現世の人間で扱えるようなものでないと知った時、虹郎は流れに逆らって生きて行くことを止め、その生き方が「強い橋」ではなく「しなやかな橋」に繋がるという伏線の見事さもあり、おっさんだらけの絵ではございましたが爽やかな後味に浸れるエピソードでございました。