巌窟王 第二十幕『さようなら、ユージェニー』

 シリーズものの醍醐味というのは、こういう比較的地味なエピソードに現れるような気がいたします。ペッポの助けを借りて結婚調印式式場からユージェニーをアルベールが助け出す件などは、ここまで積み上げてきたものが一気にあふれ出たものでございました。
 好きな人を助けたいアルベール、好きな人の手助けをしたいペッポ。そして子供時代のアルベールとフランツが抜け道として利用していた場所を、逃避行のためにくぐり抜ける二人。書いてしまえばなんということもない事でも、ここまでの道のりを観続けてきた視聴者としては感無量でございます。
 本当の気持ちに気が付いた時には、二人の前には「別れ」しかありませんでした。それは永遠の別れなのかもしれませんが、二人の瞳には悲しさは浮かんでいなかった。・・・ここで「Fin」でも構いませんよ(笑)
 「誰も怨まないで」というフランツの手紙が、アルベールが素直に受け止めらたところに彼の成長と救いを読み取れた一方、今尚復讐に取り付かれてそこから抜け出せない伯爵の対比が見事でございました。残り4話で伯爵がどのように「救われるか」が楽しみでございます。