テレパシー少女 蘭 第10話『蘭と翠と夏休み』

 翠にとって蘭という存在がどういう意味を持つのかということを本来の視聴者である「若い人」向けに、美しく印象的な花火のシーンを中心に据えたエピソードでございました。綺麗にまとまって良いお話でしたが、「年寄り」の苦言と申しますか、ほとんど「いちゃもん」の類だとは思うのですが気になったいくつかの点を書き残しておきます。
 前半蘭が翠をさかんに花火に誘いますが、その動機付けが少し弱かったように思えました。友だちだから誘うのは当たり前、という理由だけでなく同じ「超能力」を持つ二人だからこその「何か」があれば後半部に生きてきたのではと思ってしまいました。
 その後半部で翠の寂しい心の描写がありましたが、それをメインに持ってくるのでしたら、この回は翠の視点を中心にした方がすっきりと収まったような気がいたします。そうでないなら上で書いたとおり蘭の心の描写がやはり必要だったと思うのですが、この場合「蘭」は天然でさしたる心の傷というものが、これまでにない事がネックで(笑) 多分脚本家さんも書きたくても材料がなかったのでしょうと思ったりいたしました。
 というような感想を書きましたが、これはこのエピソードに問題があったからではなく、むしろその逆かもしれません。良いエピソードであったからこそ色々なことを考える事ができたのだと思います。ここ数回のエピソードで、私はこの作品を結構気に入っているみたいと自覚いたしました(笑) 始まって数回観たときの印象とは明らかに変わってまいりました。