巌窟王 第十幕『エドモンからの手紙』

 お話のあらすじを書いたところでアニメ、だけでなく映像作品は「観てなんぼ」ですし、そもそも「モンテ・クリスト伯」のような不朽の名作を原作に頂いている作品のあらすじにどれほどの意味がありましょうか。・・・、しかし原作全部は読んでいなかったりしますから個人的には多少の意味があったりいたしますね(笑)
 今回はついに「エドモン・ダンテス」が登場(笑) して、あの事件の当事者たちの心胆を寒からしめたわけでございますが、同時にヴィルフォール家の財産争いに巻き込まれて(というよりはピンポイントで狙われた)床に伏せっているヴァランティーヌを救うために男供が右往左往・・・「だいたい合ってる」と思います(笑)
 原作の筋立てをうろ覚えの記憶を頼りに書いておりますが、ところどころ原作を微妙に変えながら進行しているようです。もちろんそれを責めたりはいたしません。原作を何一つ変えないで映像化するのであれば1年52本のアニメにしても足りないでしょうし、それではアニメにする意味もございません。前田真宏監督の味付けがあってこそのアニメでしょうし、監督の解釈を楽しむというのも原作ものを観る楽しみだと考えておりますから。
 さて今回はマクシミリアンがヴァランティーヌを救い出すためにフランツとルノーが協力しておりましたが、フランツにしてみればマクシミリアンは恋仇なはずなのに健気でございます。恋よりも(フランツはバランティーヌにそうした感情がなかったからかもしれませんが)友情を取ったといったところでしょうか。あの4人も友情を大事にしていれば・・・、まあそうですとお話自体がなかったことになってしますのですが。対比としては面白いのかもしれません。
 この作品は鮮やかな色彩と斬新なテクスチャアばかりに目が奪われてしまうのですが、今回は暗闇から現れる人の心の闇を模しているかのような「影」の使い方が効果的でございました。

巌窟王DVD-BOX

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