巌窟王『月に朝日が昇るまで』

 今週も動きがどうのと言う以前に「絵」の美しさ、色彩の見事さに目が釘付けでございます。コンピュータ処理でなければ絶対無理な絵を見せていただいているという事に感動です。色鮮やかな画面は華やかですが、同時に「影」を浮き彫りにすることによってアルベールの「明るさ」と伯爵の「暗さ」という陰と陽の対比が際立つという効果を狙っていることが分かりました。それを感じる為でしょうか、華やかなのにどこか悲しく感じてしまいます。
 作中ヴァンパの扱いなどは原作とは違うようですが、あまり伯爵の狡猾さを強調しすぎると(正義は伯爵にあるとしても)「やな奴」と受け止められかねませんから、こうした解釈は監督の裁量内でございますね。来週はもうパリですか、いよいよ伯爵の「復讐の対象者」が登場するわけですね。楽しみでございます。
 ・・・楽しみなのですが、レンタル店に行くとこの作品のDVDは棚に並んでおりまして(しかも旧作ですから、そのお店では1本100円で借りられます)、思わず手を伸ばしそうになってしまいます(笑) まとめて観たほうが頭には入るのですが、11時間テレビの前に座ってはいられませんからここは自重でございます。