COWBOY BEBOP『ブレイン・スクラッチ』『ハード・ラック・ウーマン』

『ブレイン・・・』は時期的にアノ教団にまつわる一連の騒動を揶揄したお話という認識でよかったのでしょうか?私もあの時は散々話題にしたはずなのですが、今となっては良く思い出せません。そういう忘れっぽい人間が今これを観ると、叱責されているように感じてしまいます。
お話の筋といたしましては、高度に進んでしまった「電脳空間」(またこれです)を支配できれば、人を操ることなど造作もないといったところなのでしょうが、これは別に電脳空間に限ったお話ではありません。ただ「架空の人物」でもそれが可能というのは「未来」という設定のなせる業なのでしょう。
終わり方は結構キツイものでしたが、エドの「今度はいい夢を見てね」の台詞が救いでした。
『ハード・・・』はエドが退場するお話とフェイの過去話完結編を上手にリンクしたエピソード。
過去を失っているフェイは、それを知ることによって本当の自分を取り戻せると思っていたようですが、記憶が甦っても失った「時」には帰れないという事実に打ちのめされてしまいます。止まってしまった時間の間に世界は一変してしまい、自分だけが取り残された寂寥感は埋めようもありません。それは自分で自分の歴史を作れなかった喪失感なのかもしれません。
一方船は居心地も良かったですし、クルーも気が置けない連中でしたが、エドはいつでも自分の目指している道を突き進んでいる「パワフル」な父親と会ったことで、自分の足で「歴史」を作ることを決意して「ビバップ号」を下船します。フェイが永遠に失くしたものをエドは手に入れるために去って行く。そしてその傍にはナイト然としたアインの姿が!・・・、泣けました。この回は派手なアクションは少なかったのですが、これは立派な「冒険小説」だったと思います。