電脳コイル『いきものの記録』

業界の噂によると、ミゼットシリーズが発売禁止になったのは、隠し撮りや盗み聞きに悪用できるからだそうです。
前半ここまでの総集編ですが、アキラ視点で語らせるという構成にしたため書き下ろしの部分も多くなり、単なる総集編とは趣が異なりました。9話『あっちのミチコさん』でアキラが発した魂の叫び「一刻も早く距離を取らないと、お姉ちゃんに人生を吸い取られそうで・・・」を主題にした好編でした。
電脳ペットのミゼットにパッチを当てて盗聴・盗撮に利用しているアキラくんの行為は褒められたものではものではありませんが、目的が目的なだけに同情せずにはおられません。強い姉のいる弟の悲哀でございますね。そのくせアキラくんの人物評価と言うか、女性評価には著しい偏りがありまして、ヤサコは「凄くいい人です。あんまり喋ったことないけど名前の通り優しい感じのお姉さんです。全然関係ありませんが、僕は優しい女の人ってすごく憧れてしまいます」と評価しますし、おばちゃんは「胸の大きな女の人って僕すっごく憧れてしまいます」ですし、イサコは「勇ましい女の人ってすごく憧れてしまいます」って・・・アキラ、姉ちゃん以外なら誰でも良いのか!と笑わずにはいられませんでした。この辺の監督のセンスは私のツボに嵌って楽しい総集編でした。
総集編ではありながら最後の数分では、「猫目」とハラケンの会話の中に作品の重要なヒントらしきものも紛れ込ませるという手の込んだ構成をとっています。猫目は、もし「イリーガルが自然発生した電脳生物だとしたら」イリーガルは「住処を追われ絶滅の危機に瀕している生き物」で、「あるものはペットや電脳機器の中に逃げ込み」「あるものは無害化して新しい空間と共存の道を計り」「安住の地を探しているのかもしれない」と語っていましたが、これはあの「魚」「ひげ」「くびなが」の事ではあるのでしょうが、イサコが追いかけているイリーガルのことではありませんよね?ハラケンをミスリードしているように見えたのですが、前回もこのへんで訳が分からなくなった事を思い出しました。
今回もなんだか煙に巻かれたような気分です。私だったら猫目に簡単に騙されてしまいそうです。