乱歩奇譚 Game of Laplace #11『白昼夢』

人々の心に傷を残すという二十面相の計画は最終段階へ。それを阻止すべくアケチはナミコシの元へ向かう、というお話。
関心と無関心。人の心の闇と光。その境界は考えているよりずっと薄いようでございまして、人は何かの拍子で簡単に「あちら側」へ行ってしまうようでございます。
ナミコシを始め二十面相が必要な人はあちらへ、アケチやハシバは此方側で踏みとどまっていたと。
そう考えますとどちらにも属さない、と申しますか行き来できる特異な思考の持ち主であったコバヤシがこの事件の語り部で主人公だったのは必然なのでしょうね。
世間には興味はなく、面白い出来事だけに関心を示していたコバヤシくんでございましたが、ハシバの愛の力(笑)で少しは世間に関心を持ったのかもしれませんね。
それが証拠に以前は興味の対象以外はすべて表情のないモブとしか認識しておりませんでしたが、事件後はモブは顔のある人間が描かれておりましたから。
ナミコシは生死不明。でも彼は二十面相を生み出したのですから生きていたとしても二度と世間に登場することはないでしょう。姿を表してしまえば神格化された二十面相が台無しになりますから。
と云う事でコバヤシくんは今日も通常運転。
どんなに大きな出来事があろうとも人はそう簡単には変わらない。そういった「締め」でございました。
出来ればこの作品ももう少し「尺」が欲しかったのですが、…岸監督も売れっ子だからこれ以上の拘束は難しいのでしょうねぇ。次回作期待しております。