京騒戯画 #10『今日を騒がしく戯れ生きる人々の漫画映画』

本編は最終回でございまして、大団円。
作品は制作者の意図はともかく、発表された以上どう受け止めようとそれは視聴者に委ねられるものと考えております。
で、おっさんには「偉大なる先代から任された職責に耐えかねて息抜きに自分だけの世界を内緒で作ったけれど、それは自分の仕事を考えればこの世にあってはいけないもので、でもそこに愛すべき家族ができてしまい、どうしていいのか分からなくなって自分の命で責任を取ろうと思ったら家族から叱りつけられたお父さんのお話」に見えました(笑)
本当は色々と哲学的なものが内包されていたのかもしれませんが、小人である私にはその程度しか理解できませんでしたよ(笑)
明恵は苦しみを自分の中で抱え込まないで父親や妻に相談していれば良かったのでしょうけどそれが出来ず、また家族に対して弱みを見せておくことも出来ず、…父親としてのプライドが許さなかったのかもしれませんで、それはよく分かります(笑)
でもどんなに情けない息子でも、どんない頼りない夫で父親でも家族にとっては必要な存在で、そして幸せというものは家族が揃ったありきたりな日常の風景の中にこそあることを確認した作品ではなかったかと。
子供たちの可能性に期待するという台詞は明恵が一番言われたくないものでしょうが、それをたしなめる古都に妻で母親としての彼女の大きさが見て取れましたし、薬師丸とコトは父親が考える以上の成長を見せてくれましたが、彼らを育てたのは間違いなく明恵ですし、世界を作るより子供たちを成長させる方が難しいのですから彼は自信を持ってもいいですね。
家族の再生が世界の再生とリンクしていた物語、それがこの作品に対する私の感想でございます。
凝ったレイアウトと演出、メリハリの効いた作画、様々に変化しながら作品世界を彩ってくれた音楽、東映アニメーションの本気を堪能できた作品でございました。