ダンボール戦機 第44話(終)『世界を変える者』

大団円、…なのかなぁ(笑)
最終回のバンとレックス(正確にはオーディーンとイフリート)のバトルシーンは見応えのある素晴らしいものでございまして、最初から最後までバトルアニメだった方が良かったんじゃないかと改めて感じました(笑)
1.
視聴開始した時はまさか全話観る事になるとは考えもしなかったですし、道中散々不平不満・罵詈雑言(そこまで酷くはありませんでしたが)を書き連ねていたのに完走できたのは、この作品が日野社長のオリジナルだったからでございましょう。
本作に対しての最大の不満は、キャラの描き込みが不十分で、その事が登場人物たちの人間関係の希薄さの原因になってしまっていた事でございまして、主役クラスのアミやカズヤにいたしましても「これだ」というエピソードが用意されなかった訳で、まして郷田クラスですとモブ扱いでございました。
物語を豊かに彩るためにも、新たに登場してくるキャラが仲間になったり敵になったりしながらバンと人間関係を構築して見せるのが普通だと考えるのですが、日野社長はそういった部分に全く興味がなさそうでございました。
郷田やその仲間たちは登場した時は個性的に描かれておりながら、その後は郷田を応援する場面でしか登場いたしませんでしたし、仙道がひねくれている理由(笑)やらジンがバンと友人関係を結ぶ件も説得力が弱かった。
…他にもオタクロスやハッカー軍団は能力が高そうなのですから最終決戦には登場させていただきたかったですし、灰原ユウヤの扱いですとか、…きりがないな(笑)
結局キャラはバンの前に現れては消えて行くだけの者でしかなく、そういう部分が実にもったいないと考えてしまうのですよ。上手く使えば濃密な人のつながりが描けたでしょうし、そうすれば最終的にレックスが託した未来を無数の子供たちが引き継ぐといった実に感動的なラストシーンになったのではなかったか、と。
2.
とまあ、これだけの不満がありながら最後まで観続けられたのは上でも書きましたがこれが日野社長のオリジナルだったからでございましょう。日野社長が現在関わっておられる「ガンダムAGE」を途中退席(笑)してこれを最後まで付き合えたのは多分この一点しかございません。
こちらが特段素晴らしいというのではなく、この作品は日野社長が自分で作った「服」で、あちらは富野さんが作った「型紙」を使ってできた「服」を着ているからかと。
「身の丈が合わない」とは申しませんが、やはり作品に応じた「お作法」や「文法」というものがございまして、そこが決定的に違っているように感じられたからでございます。
富野さんが作った「型紙」は、ロボットが活躍したり敵味方に別れて戦争を描いていた訳じゃなくて、「人間」を描きたかったのだと思うのでございます。そのためにキャラに「血を通わす」ことに富野さんは腐心したと思いますが、この作品を観ていて日野社長にとってキャラは齣としか考えていないようで、そもそも方向性が違う。
オリジナルな作品であれば、その作品世界も登場するメカもキャラもクリエーターが完全にコントロール下に置く事が可能ですし、観ているこちらも「そういうものだ」と納得していられた。そこに違和感は感じなかったので、文句を書きながら(笑)も最後まで視聴できたのでございましょう。
3.
何度も書きますが、私はこの作品を否定するつもりも罵倒するつもりもございません。それどころか一部(子供に世界を背負わせたところ)を除けば楽しませていただきましたので感謝しております。…作画も乱れませんでしたし。
ただこれだけの「尺」があったのですから、もう少しキャラに愛情を注いで下さり、キャラを立てて下さったのならもっと楽しい作品になったのではないだろうかという考えが常にありまして、そこだけが、そして多分そこが故、惜しい作品という印象を拭えなかったのでございます。
次週から「ダンボール戦機W」が始まるそうですが、そこを改善してくれていると嬉しいのですが、さてどうなることでしょう。…ところで「W」って何?(笑)