うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE1000% Op.13(終幕)『マジLOVE1000%』

大団円…、今週こればっかり書いております(笑)
例えば美味しそうな料理の絵が画面に登場して、登場人物が「美味しい!」と言った時、その美味しさには絶対値は存在しておりませんが、私たち視聴者は各々の基準でその「美味しさ」を受け入れます。
小説やマンガで「素晴らしい音楽」と書かれていた時も同様で、聞こえない音を自分の頭の中でそれぞれの「素晴らしい音楽」として脳内再生して納得することが出来ます。
が、映画や舞台、さらにアニメのように「本物の音」が使われる場合は、そこに「個人の感性」というフィルターを通過してしまいまして、いくら劇中で「素晴らしい音楽」と登場人物に語られましても、嗜好の違うものに対しては納得できかねるのでございます。
ですが、作品としては「素晴らしい音楽」「最高の楽曲」として認識して頂きませんと物語の進行にも問題を生じてしまいますので、なんとしても劇中で使われる音楽を「素晴らしい」「最高」としなければなりません。
もうここから先は演出家の腕だけが頼りでございます。
本作の場合、初回のOPにラストシーンをお披露目して、そこから逆算して物語を進めておりました。その過程のドラマにつきましては「クサイ」という形容詞が当てはまるものでございましたが、それら全てが「最高の楽曲」を最高だと錯覚(いや、あくまで嗜好の合わない人向けでは、という意味です)させるための仕掛けであったと。
ドラマ部分の出来があまりにも素晴らしく、またリアリティに溢れるものであった場合、肝心の音楽が作品から浮いてしまう可能性は高かったでしょう。しかしそこが「お伽話」であったからこそ「マジLOVE1000%」の出来との差はなくなったのだと考えます。
そして毎回EDで聴かされたことで洗脳(笑)され、そのED自体も未完成でございましたので完成品への期待は知らず知らずのうちに大きくなった…、いえ監督以下スタッフの計略に嵌まってしまった、と。
正直この手のジャンルの音楽は好きな部類ではないのですが、今回のBパートからEDへの流れには逆らう事が出来ませんでした(大笑)
完成品の「マジLOVE1000%」は、大昔何度か行ったアイドルのコンサートを思い出させてくれる黄色い歓声と光の洪水に酔わせていただきましたし、たしかにあの瞬間は「素晴らしい音楽」「最高の楽曲」に聴こえてしまったのでございます、…しかもフルコーラスってのも反則ですよねぇ(笑)
といった具合でございまして、好みではない楽曲を「サイコー!」と感じさて下さった紅優監督の演出手腕に感激いたしました。もちろんシリーズ構成・脚本の金春智子さんや各話担当の方々、さらに終始美麗なキャラを描いて下さったアニメーター諸氏、演技はもちろん歌でも頑張りって下さった声優さんたちも同様でございます。
「乙女ゲー」が原作のようですが、結局だれともエンドを迎えなかった構成も、この手の作品が苦手だったおっさんを完走させてくれた原因なんでしょうねぇ。あらゆる点で「してやられた」作品でございました、感謝!