屍鬼 #14『第悼と死話』

恭子が死に「おきあがり」そして敏夫が…、というお話。
これまで屍鬼たちが村人を襲う場面はそれほど「怖い」とは見えなかったのですが、敏夫が冷静に恭子の変化を観察し、弱点を調べている場面はとても怖かった。
その怖さは「身の毛がよだつ」ですとか「驚き」から来るといった感覚的な怖さではなくて、暗闇に放り出された、あるいは底の見えない穴を覗きこんだ時のような精神的なものから来る恐怖とでも申しましょうか。
敏夫が愛する妻の変わり果てた姿を見ても動揺することも葛藤することもなく、ただただ淡々と対象物としてだけの眼差しを、これまた過度な演出を排して欠落した感情を描いて見せたところに、誰しも持っている「人の狂気」を見せられた思いがいたしまして怖かったな、と。
これまで意識的に曖昧にされていた恐怖の根源が、屍鬼から人間に決定的に変わったエピソードのような気も致しましたが、どうなんでしょうねぇ…。
屍鬼の数が少なければ、圧倒的な人の数の前で虐殺されるしかございませんので、そうなれば視聴者は屍鬼に同情してしまうでしょうし、かといって屍鬼の数が多過ぎれば今度は人間に一方的に心を寄せてしまうでしょう。
でも、本作で描きたい部分はそうした一方的な感情などではなく、普遍的な何か…、何であるかは終わってみませんと分かりませんが(笑)
で、ここまで中だるみかな?とも感じておりましたが、双方の勢力が適正なバランスになるまでにはこれだけの時間が必要だったようです。
ふ〜、とりあえず敏夫は屍鬼の対処法を獲得いたしましたが、彼一人では如何ともし難いでしょうから、これからは「仲間」を獲得するお話に移行するのでしょうね。それはある意味「地獄」への道中になるのでしょう。