けいおん!! 最終回『卒業式!』

唯たち卒業組が梓に「天使にふれたよ!」をプレゼントしたお話。
なんでしょうねぇ、4コマのギャグマンガが原作の作品なのにこんなに切なく愛おしく爽やかな終わり方なんて。
これはコマとコマの間、エピソードとエピソードのつなぎに原作者が描かなかったことを、京都アニメーションのスタッフ各位が読み取って拡張した結果なのかもしれませんが、女子高生たちの他愛もない日常を描いていながら、その他愛もないものの中に「素敵なもの」が必ずあるんだよといった制作姿勢は見事としか書きようがございません。
先週書きました通り、泣きました(笑)
ただ、作品として「泣いて下さい」と用意したであろう梓が「卒業しないで下さい!」と感極まった場面ではなくて、「宮本アキヨ」ちゃんが軽音部の四人組と写真を撮らせてと言ったところですとか、教室から生徒たちが三々五々去って行った場面、そして誰も居なくなった教室にさわ子先生が佇む場面で胸が熱くなりましてねぇ。
別れた直後はいつもと少しだけ違う「お別れ」にしか感じられないでしょうが、この同級生全員が一堂に会する機会なんて(多分)もう2度とない、…といった切なさは若い方には分かるまい(笑)
ラストの部室でのシーン。
一時一緒に居られなくなる梓のために唯たちは曲をプレゼントいたします。先週の「カセットテープ」が「記録」として残るとしたら、今週のそれは「記憶」として梓や唯たちの心の中に残るものとして描かれていたように思えました。
記録は媒体が失われてしまえばそれまでですが、記憶は永遠でございます。そしてその永遠にはいつでも先輩たちと演奏していた自分がいる。離れ離れになっても心の中の永遠はいつも一緒。
それと同時に視聴している者にも記憶しておいてもらおうといった意図が感じられた演出だったように見えました。ええ、記憶いたしましたとも(笑)
本作がバンドを舞台に選んだことにつきましては(第1シリーズはともかくといたしまして)疑問もあったのですが、演奏するという行為は一人ではできない(訳でもないのですが、それですと「友人」という存在が描けませんので)ですし、時間も空間も共有する関係を高校を卒業した後でも続けていけるよう、そしてそれを予感させる素材といたしましては適切だったのだなぁと、終わったあとで感じました。
「絵」や「書」は最終的に「個」になっちゃいますし、「運動」ですと体力的な問題(笑)からこうはいかないでしょうからね。「音楽」は「永遠」に続く架け橋という意味でも正解だったかと。
本当は「大人の不在に対する疑問」についても書きたかったのですが、まあいいや(笑) 綺麗に終わったのですから。
…えっ、終わってない。何故?(笑)