刀語 第八話『微刀・釵』

前回実姉・七実との対決に勝利した七花ととがめは家鳴将軍家の尾張に戻ってきた。そこで否定姫から次なる刀の所在を聞いた二人は江戸にある壱級災害指定地域の不要湖を目指すことになった、というお話でした。
今更ではございますが、本作は西尾版「どろろ」なんだなぁという考えに至りました。…恒例ではございますが、最後まで視聴しないうちに思いつきで書いております(笑)
どろろ」の場合は百鬼丸が失ったもの・奪われたものを取り戻しながら「ひと」になる作品だったのに対して、本作では七花が「刀」を集めながら「ひと」の心を得て行く過程を描いていると申しますか。
取り立てて「似ている」と言う訳ではありませんが「触発」くらいは、と邪推(笑)したしだいでございます。
本編
第六話『双刀・鎚』の時に

七花が「抜き身の刀」で、刀を集めながら鞘を探すという逆説的な構成になっていることに気が付く

と書いたのですが、これも微妙に外れておりますので、今回の感想も同じような運命を辿るかと(笑)
まあ、鞘としては既に「とがめ」が用意されている訳ですから、まるっきり的外れと言う訳でもないと考えておりますが、これも最終的にはどうなることやら。
さて、
前回実姉を倒したことで七花の変化を促したのですが、それを七花自身に認識させるために「からくり人形」日和号を「刀」として用意。これによってかつての自分が命じられるままにしか動けなかったこと、魂のないただの道具としての存在を認識させたわけでございました。
これは表現するのに別にからくり人形である必要はないと思うのですが、「刀」を使った人間ではこの空虚な雰囲気がでなかったと考えますとベストチョイス!と思います。
それにいたしましても「人形」自体が「刀」という、その発想力に感心させられました。もっとも鎧が刀というお話がございましたので、なんでもありなのですが、そうした発想にきちんと意味を持たせるところが凄いかと存じます。
七花に敗れた後日和号の目に雨粒が当たりそれが涙のように見えましたが、その意味はようやく敗れ休むことができる安堵の涙なのか、それとも敗れてしまった事に対する無念の涙だったのか。…前者と解釈したいものでございます。
で、
自分自身の意思でとがめのために刀を集めると宣言した七花でございましたが、残り4本の刀と真庭忍軍、それに否定姫と左右田右衛門左衛門、そしてそもそも刀集めを命じた家鳴幕府の思惑等々、まだまだ紆余曲折が用意されているでしょうし前途多難を予感させます。
この作者の発想力は尋常ではございませんので、こちらの予想なんか軽く飛び越えてしまうことでしょう。一か月待つのが辛いです。