閃光のナイトレイド 第9話『新しい京』

葵は葛の制止を振り切って静音を追った。再会した二人だったがやがて静音は再び葵の前から姿を消した。というお話でした。
勲が雪菜に見せた「ヴィジョン」はもちろん広島・長崎なんでしょう。そのことから推理いたしますと勲は後の悲劇を食い止めるために動いているという事なのでしょうが、まあそこに目新しさはございませんので、この推理は外れて構いません(笑)
葵と静音の恋が、歴史というものの前では「個人」とは成す術を持たないという事の具体例として描かれていることには好感が持てました。そうした時、人はどう「足掻くのか」は実に魅力的な物語だと思います。
そして勲もそれは同じで彼の足掻きは(歴史的事実では)結果的に失敗に終わる訳ですが、問題はそこにない事は当ダイアリーをお読みになられている方ならご存知かと。そうです、物語にとって結果はさほど重要ではありません。重要なのはどう考えどのように行動したか、そしてそれをどれくらい魅力的に描けたかでございまして、それが私の大好物でございます(笑)
ですからこうしたやりとりがここへ来て展開している事は嬉しいのですが、何故もっと早い段階からこれをしなかったのだと残念だったことも事実なんですよ。
桜井機関の颯爽とした活躍を描きたかったのだと思うのですが、前半のそれが成功していたとも思えませんし、一方この時代を描くことも中途半端な感じは否めません。であれば歴史に翻弄され「足掻く」人々の描写を中心にして頂きたかったかと。
ここまでの視聴では静音の哀しみは描かれておりませんでしたし、勲の苦悩も同様。さらに桜井機関のエージェント各員の葛藤もこれといってございませんでした。確かに葛の挫折は描かれておりましたが、あれも通り一遍でしたから、ねぇ。
確かにこうした描写が中心になりますと絵的には「地味」になったと思うのですが、「アニメノチカラ」を標榜する番組ですから腹をすえて地味な作品を目指した方が・・・、まあ売れないと困るのは分かるんですけど。