鋼の錬金術師 第50話『セントラル動乱』

本作が2時間の劇場版だったとしたら今回のエピソードなどはそっくり割愛されていたでしょうし、そうなるとこの高揚感もなかったのでしょう。どちらがどうではありませんが、長く続けられるテレビシリーズの良さはこういう所だと思いました。
ただ、長いシリーズの困ったところは途中参加の壁が高いことでございまして、今回オリヴィエの語った「氷漬けにされた」云々が第一話のことを指すなんてのは良い例で、私も暫らく「?」でございましたし(笑)、アームストロング少佐に話かけていたデニー・ブロッシュがマリア・ロス少尉の再登場に合わせて「ニヤリ」とできる人は、初期において彼が彼女の相棒だったことを知る視聴者だけでしょう。
まあ、この辺は本筋に余り関係がないので「観続けていた人の特権」ではございますが、これらを知っている(憶えている)か否かで面白さに違いがあるのも事実ですから、やはり継続は力だ!(笑)
今回は見所が多くて何を書いたものか。「出世払いだ!」の格好良さも捨てがたいのですが、「ぬくぬくと安全地帯から戦場を眺める貴様らのような者が、痛みとかいうものをさも崇高であるかのように仕立て上げ利用する!」の方がより好きなもので(笑)こちらを。
この台詞の解釈は人によって様々でしょうが、突き詰めますと数回前に書きました「覚悟」の問題かと。「痛み」の本質が肉体的なものであれば、この将軍(名前は失念)も知ってはいるのでしょうが、実はこの時オリヴィエが問題にしている「痛み」とは肉体かつ精神のそれであって、さらに自分の痛みだけではなく他者の痛みも知った者だけが口にして良い台詞なのだ、少なくとも上に立つ者がそれを言うならそうでなくてはならない。己が傷つく事を恐れているような者が言って良い言葉ではない、と。
マスタングとブリッグス兵に右往左往する姿には、その覚悟が見えなかった。だからオリヴィエは彼らを見切った。彼らは自分の力で、自分の足で上を目指して歩こうとはしない。そこは自らの血を流す事も傷つく事も死すら覚悟する者だけが行く資格がある。その覚悟を持っているオリヴィエにしてみればこの将軍たちはただの障害物にしか見えなかった、と。
この覚悟をしたキャラが女性である事に驚かされます。昔であれば間違いなく渋いおッさんか、野心の燃えた青年が立っていたことでしょう。何故女性なのでしょうか?そこにはきっと意味があると思いますが、今はこの素晴らしい展開の物語に浸っていることにしたいと思います。・・・思いつかないだけなんですがね(笑)
予告。うわっ、今週以上に凄いお話になりそうです。オリヴィエ対スロウスはどうなるんでしょう(笑) 待ち遠しいなぁ。