こばと。第二十三話『・・・こばとの願い。』

 怪我をした藤本の世話を焼く小鳩。迷惑そうな藤本とは対照的に嬉しそうな小鳩だったが、「その日」はついに訪れた、というお話。
 「行きたい場所」が「会いたい人」が身近にいた、記憶にないどこか遠くではなく「今、この場所」の藤本との時間を大切に想った、というメーテルリンクの「青い鳥」解釈で宜しいのでしょうか? ありきたりといえばありきたりですが、落とし所といたしましては妥当だったと思います。
 何回か前に藤本らしき人物と遊ぶ小鳩の記憶が描かれておりましたが、あれは前世(あるいは未来かもしれませんが)の記憶だったというわけですね。そういたしますと、そもそも小鳩が行きたかった場所とは藤本の傍であって、この小鳩に与えられた試練はそのことを教えるため(思いだす為の?)の「天界」の計らいだったのかもしれませんね。
 内側に溜め込んでいた分、藤本の「こんぺいとう」はこれまでで一番輝きを放っていたというのは予想通り。ですがこの別れのシーンの美しさは予想以上でございました。
 青い月明かりと白い桜吹雪、二人を別つ光の壁と抱きしめた瞬間に飛び散る光。幻想的で叙情的な見事なシーンでございました。演出は初回以来の浅香守生さん。良い最終回でした・・・、違う(笑)