こばと。第二十二話『・・・さよならの日。』

 よもぎ保育園は結局どうにもならず閉園。別れを惜しむ子供たちと小鳩。しかしひとり藤本だけはそれを受け入れる事ができず苛立ちを募らせていた。そして小鳩の「こんぺいとう」を集める時間も無くなっていた、というお話でした。
 初めて園で弾いたオルガン、それを聴いている皆の笑顔と、親代わりの保護者の優しい眼差し。そのオルガンも今は鳴らずに部屋の隅に追いやられている・・・。もう二度と音を奏でることもなく、「あの日」も永遠に帰っては来ない。
 「帰る場所」を喪うことは辛い。けれど「永遠」に在り続ける場所はこの世にはありえません。どんな場所もいつかは朽ち果ててしまう。だからその「場所」が無くなってしまうことは仕方がない事。在り続けて欲しいという願いは自分勝手な願いでしかありません。
 その「場所」は藤本にとってかけがいのない宝物であり、親を喪ってからの彼の全存在。だから彼の想いは良く分かるし、誰もそれを否定はできません。その場所を守りたくて頑張って、しかし若い彼の力はとても小さくて及びませんでした。
 そんなことは百も承知、分かってはいるがこのやり場のない怒りをどこへ向けていいのか分からない。そんな痛い想いが十分に伝わってまいりました。
 一方で、「お前には誰も触れられない想い出という永遠があるじゃないか、なぜそれに気が付かないの?」「過去を懐かしむにはお前さんは若すぎるだろ?」とテレビのこちら側で切歯扼腕(笑) もう少し正確に書けば「お前は子供かっ!」なのですが。
 ・・・とまあ、このように饒舌に語ることの出来るアニメが好きでございます。モニターのこちら側の感情を揺さぶるというのは簡単な事とは思っておりませんし、仮にそれが上手く行ったとしてもそれが万人に通用するものとも思いませんが、少なくとも私は今回の物語を観ていて上記のような(例え「負」の感情だったとしても)感想を持たせた今回のスタッフの手腕を評価する次第でございます。
 さて小鳩です。「いおりょぎ」が「神」と戦ったことが原因で現在の小鳩があるということがここで判明。・・・引っ張りすぎだ(笑) おかげで小鳩の「行くべき場所」のお話と、「何故そこへ行かなければならないのか」のお話は残り2回でなんとかするんですか、端折り過ぎじゃないの?
 そしてさらに追い討ち。次週は二話連続放送で一気にクライマックスでございます。・・・やはりNHKサブカル冷遇の余波のような気がしてなりません。気のせいだったら良いのですが。