刀語 第二話『斬刀・鈍』

 一ヶ月とは長いようで短く、短いようで長いインターバルでございました。二話を観る前に一話をおさらいしようですとか、原作者西尾維新による平成時代の新たな言文一致運動について考えてみようかですとか、西尾維新新井素子の比較などを考えてみようとか色々思いついたことはあったのですが、まあいいや(笑)
 今回の相手は居合いの達人「宇練銀閣」、必殺技は…「ぜろせん」って台詞だけだとどのような文字なのか分からなくて困ってしまいます。こういうところは「化」のように文字を画面に映していただけますとありがたいのですが。つくづく文字や台詞が主体の作品だと改めて思ったりいたします。
 パッと観た感じでは全体の半分位が無駄話しで、残る半分の半分がこのエピソードの為の台詞で、全体の四分の一がアクションといったところだったでしょうか。
 「ウネリ」の生き様や背負い込んだもの、逃れられない「運命(さだめ)」との戦いと、「ウネリ」の生涯に焦点をあてた物語だけでも軽く一時間は必要な内容だと思うのですが、作者はそこに頓着いたしません。
 それだけ観ても原作者が何をしたいのかが分かるというもので、上で書いた「言文一致」にも関わってくるのですが、「今現在(主に)若者が使う生きた日本語」を小説に使う。全体を覆う無駄とも思える言葉のやりとりこそがこの作品でも主題ではないでしょうか。
 それでも時代劇(なんだろうなぁ)でございますので「横文字」は使わない注意深さも見せておりましたので言葉を粗末に扱っているわけではなくて、むしろリズムや語感は大事にしていると思えました。で、新しい文体という点で新井素子さんが出てきた時と似た感じがしたもので比較対象と書いたのですが、まあいいや(笑)
 肝心の「鈍」回収のお話は、非常に切ないお話のはずなのですが、拘っていないのか恥ずかしいのか分かりませんが、上記のように頓着していないため非常に中途半端。いや、消化不良か?
 ただ、「余白はたっぷりありますから、観た人それぞれで補完してひとりひとりが宇練銀閣の物語を作って下さい」と言った風にも観えました。親切設計ではありませんし、悲惨なお話ではございましたが視聴後の爽快感はこの余白故のような気がいたしました。
 全体のほんの一部のアクションシーンはスピード感と切れの良い演出があって満足いたしました。不満は「ほんの一部」だったことだけでございます(笑) 「アニメの命は動き!!」と原理主義者のように叫ぶ事もできますが、「作品」として観るのであれば別に動かなくても不満はございません。この作品はそういう作品でしょうから。
 次に「七花ととがめ」の楽しい掛け合いが観る事が出来るのは一ヶ月先ですか。う〜ん、色々と覚えていられるかなぁ。