テガミバチ 第二十話『なくしたテガミ』

 ラグの同僚ザジが鎧虫「アブサン」に襲われ負傷、配達中の大切なテガミも失って「ハチノス」へ戻ってきた。あえて危険なルートを使うザジに不信感を持つ他のテガミバチたち。ラグはザジの失ったテガミを取り戻すべく鎧虫の棲む場所へ急ぐのだった、というお話。
 脚本は赤星政尚さん。「アブサン」のスキマが二つという設定にしてラグとザジを一つの画面に登場させるしっかりした理由を作ったのはベテランの味でしょうか。
 今回は登場したキャラクターの性格に違和感がなく、物語も原作で語られていたザジの生い立ちから来る鎧虫に対する思いを利用してありました。ただ、原作の設定に拠りかかるのでしたらもっと徹底的にした方が宜しかったようにも思えました。
 具体的には、ザジは両親が鎧虫によって(直接ではありませんが)殺されその深い哀しみを抱え込んでおります。そして復讐の手段として「Bee」になった、と。ここまでが原作の設定。
 しかし「Bee」になってから自分の届ける「テガミ」の「重さ」を知ってしまい、自分の復讐よりも「テガミ」を優先しなければならないこともザジなら既に知っている、というのが今回の「肝」でございました。
 であるならば、このザジの葛藤こそが今回描かれるべきテーマだったでしょう。そしてそうであれば「オリジナル」であっても原作を補完しえたエピソードになったかと存じます。その辺の「ザジの哀しみ」という点で今ひとつ深みがあれば・・・、少し残念ではございました。でもまあ、最近の中では上手く行っていた方だとは思いましたが。
 「サンドラ・ママ」が再登場しておりましたが、この方とニッチの心温まる交流のお話も見たいのですが、そのためにはラグがゴーシュと対決するエピソードが必要になりますし、現状では無理でしょうね、残念。