そらのおとしもの 第10話『天使の旋律(ことば)の向かう先』

 9割の冗談と1割の本気で作られている本作でございますが、それは今回も同様でございました。いや、ある意味では1割の本気が9割の冗談を吹き飛ばしたと書いても宜しいかもしれません。
 お話は「智樹と手をつなぎたいイカロスだったがどうすればいいのか分からずにいた。そんな時、智樹の通う学校では文化祭が行われる事に。しかしそこでは私立と公立の仁義なき戦いが切って落とされることになった」というものでした。
 私立のオーケストラの演奏シーンは「のだめ」を彷彿とさせるようなCGでございました。もちろん掛けられる予算や制作時間が圧倒的に違うでしょうから、本当に短い時間でございましたが、だったら「止め絵」で処理しても良かったと思うのですが、相変わらず無駄なところに力をいれております。立派。
 新大陸発見部の演奏シーンも「けいおん」・・・とまでは書きませんが、必要にして十分な作画だったように見えましたよ(笑) 馬鹿馬鹿しい事は全力で取り組むという本作スタッフの本気が感じられた作りでございました。
 で、それらの冗談を吹き飛ばした本気と言うのが「ニンフが飼っている小鳥を引き裂いた」シーンでございました。作品の雰囲気を一変させてしまうのに十分なシーンだったでしょうか。
 これまでもイカロスがダウナーを殺戮していたシーンはございましたから小鳥一羽でと思わないではありませんが、「自分(ニンフ)を信じてその手の中にいる生き物を、自分が生きるために殺してしまう」シーンに意味があったかと問いますと、多分ない。
 いや、本作が徹頭徹尾シリアスな展開であったのならこのシーンには意味があるでしょう。命の温もりがその手の中で消えて行く絶望をニンフは知っている、そしてそれを行った自分の罪を忘れない。その地獄から自分が何をすべきなのかを探しているという物語であったのなら。
 残念な事なのか喜ぶべき事なのか、本作はそうした部分を極力避けてここまでまいりましたが、であるのならこのシリーズ中はその部分を避け続けても良かったように思えました。だって残り三話で全てが解決するとも思えませんし(笑)
 いや、ととえ2期があったとしてもこのメンバーでシリアスドラマは無理でしょう(笑) なかなか難しいところでございます。