戦う司書The Book of Bantorra第8話『沼と仲間と浜辺の貝殻』

 「笑いたい」とは生きている証。エンリケは生きる意味を求めて強要された戦いを続けたが、そこに笑いは存在しなかった。やがて訪れた死だったが、そこにも安息はなかった・・・、というお話。
 ザトウの能力は「本喰い」で、飲み込んだ本が持っている能力を「仮想臓腑」の中で保持できるかぁ・・・、う〜ん、思い出せませんがこの設定自体は昔どこかの作品で読んだか見たような気がいたします。もちろん本作の設定と全く同じではなく、本作用に適切化されておりましたので違和感もございませんでした。
 設定などというものは手段でしかありませんから使えそうなものはドンドン使ったら宜しい。結果、目的である「語りたい物語」が魅力あふれるものになったのでしたら万々歳でしょうからね。で、本作の場合はと申しますと・・・。
 このエピソード自体は私好みのものでした。欲を言えばエンリケの生への執着及び笑顔への希求をもっと掘り下げていただきたかったでしょうか。そうすることでクモラとの関係や彼女の苦悩がもっと生きてきたように思えるのですが、制約された時間の中ではこれでも十分だったかもしれませんね。
 それとアニメという映像作品ですから、本来のザトウとエンリケの意識に支配された時のザトウに僅かでも外見的相違があった方が親切だったかもしれません。まあ「あざとい」演出になってしまったかもしれませんが。
 ザトウとノロティのアクションシーンは気持ちの良い作画を見ることができて幸せな気分になれました。全編これで通すことが不可能なのは分かっておりますが、できれば毎回一箇所はこうしたシーンを提供していただけますと視聴する楽しみが増えるというものでございます。
 それにいたしましても、この作品で語られる「肉」として扱われる人間と、そうでない人間の違いと申しますか、何故そうした選別が行われそれに甘んじているのかが未だによく分かっておりません。そこら辺りがよく分かるエピソードがそろそろ欲しいでしょうか。