化物語 第十二話(終)『つばさキャット 其ノ貮』

 前回の予告で「テレビ版最終回」と宣言されてはおりましたが、「BSなら・・・」とか甘いことを考えていたのですが、やはり甘かったようです(笑) しかし今回のお話は「つばさキャット 其ノ貮」ではなく、「ひたぎクラブ 其ノ參」だよなぁ。羽川のお話は全く関係なかったし、羽川の頭痛の正体も分からずここまでなのか。商売が上手いとしか書けませんね(笑)
 さて、諸般の事情からいたしますと投げっぱなしで終わらせても致し方が無かったところですし、そうやって後々の商売に繋げるやり方もあったでしょうが、一応の最終回として青春物語としても化物語としても綺麗に終わらせて下さったスタッフ各位の御努力には感謝したいと思います。
 それにしても(アニメ版の)最後の怪異が戦場ヶ原の実の父親とは、創作者の発想に驚かされたり苦笑させられたり(笑) 最高の選択ですよね。
 「なでこスネイク」の時にも書きましたが、この作品に出現する怪異が実体としての怪異であっても、若者から見た社会の暗喩としての存在であってもお話としては成立すると考えておりますから、阿良々木にとって恋人・戦場ヶ原の父親は最強の怪異でございましょう。
 どのように付き合ってよいのか分からず、さりとてこれまでの怪異のように祓う訳にもいかず、へたをすると(いや、上手くするとか?)生涯に亘って付き合って行かなければならないのですから厄介です。少年にとって最悪の怪異でもございますなぁ(笑)
 そういった社会との避けがたい距離を掴む経験と出会うこと、誰もが通る道なのだけれどどう対処していいのかわからなくて途方に暮れる経験、そういったものがこの作品に書かれた(描かれた)怪異だったのではなかったでしょうか。・・・強引ですね。
 そして若者同士でも「距離」の問題が存在するのだということを戦場ヶ原の台詞から読み取ってはいけないでしょうか? 彼女の物言いは「ツンデレ」とかそういったものではなく、初めての恋人との付き合い方に戸惑って、どう喋って良いのか分からなかったから、かと。
 この回の冒頭を「バカップルのありふれた風景」として見ることも可能なのですし、これまでのエピソードから戦場ヶ原のああした言動は当然のようにも見えるのですが、あれも恋人との距離という得体の知れないモノを前にした戸惑いの結果だと。
 「・・・キスをしましょう、阿良々木くん」と言葉を探した戦場ヶ原は、ひとつの怪異を乗り越えたと解釈しても宜しいのではないでしょうか。こうやって若者たちは色々な怪異と向かい合い、乗り越えて行くのだという青春小説(青春アニメですな)としては実に爽やかな終わり方でございました。
 いや、普通に青春伝奇小説として読む(観る)のが正しいとは思うのですが、こうやって妄想できる容量も備えている良い作品だったと思いました。できればシリーズ全てをアニメ化していただきたいものでございます。これは原作買うしかありませんね。