プリンセスラバー! 第十二話『プリンセスラバー!』

 お伽噺終了。結局哲平の両親の死はあまり活かされる事なく、その他の問題も性善説で押し切ってしまいました。いえ、これはこれで一つの見識ですのでその事自体には問題はございません。
 主人公が正論を吐き、その事で視聴者を感動させるというお話はアニメに限らず昭和時代にたくさん見かけましたし、実際私もそうしたお話で感動した事は多かったのですが、さすがにこの歳になりますと、ね。
 徹頭徹尾「綺麗事」でお話を進めておりましたので、本作スタッフに揺らぎはなかったと見えました。ただそうであるならこの事件を選択したことが惜しかったかなと思いました。陰惨な物語にならないようテロリストサイドにも間抜けなキャラを配置していたように「できるだけ人が死なないような展開」を心がけていたようですが、であったのならもう少し肩の力が抜けたストーリーを用意した方がこの作品には相応しかったように感じてしまいました。
 そして最低限お話の整合性・・・いや、辻褄かな?・・・う〜ん、これも違うかな?には気をつけていただきたい、と。そうでないと哲平の「許す!」の台詞が浮いてしまいますからね。
 先週も書きましたが、「原作通りの展開ではアニメ化できない(原作の事は全く知りませんが、噂通りの「エロゲ」であるなら、という前提で)」「アク抜きして普通の恋愛シミュレーションとしてのアニメ化なら、同種の作品との差別化が難しい」といたしましても、企画段階でもう一ひねりして頂きたかったものでございます。
 演出を含めて見せ方には工夫の跡が見られましたし、作画も綺麗どころを最後まで綺麗に描き、動きも違和感なく見せていただきましたので、物語に目新しさがあったなら、というのが最終回を見終えてすぐの率直な感想でございました。