大正野球娘。 第8話『麻布の星』

 矢島晶子さんの本名は小笠原晶子。・・・いや別に意味はありませんよ(笑)
 今日も太郎たち小学生チームを相手に善戦するも、最期の詰めで晶子の勝気な性格が災いして逆転負けを喫する桜花会。前途は多難。乃枝は紀子のスコアブックで朝香中学の分析に勤しむが実感が伴わない事に不満を口にする。そんな時、国際キネマの吉村という男がグラウンドにやってきて、というお話でした。
 道は幾つもあり、どのような選択をするかはスタッフの特権でございますから、視聴者としてはそれを眺める事しかできません。本作は「野球を通して困難を乗り越える友情や、乙女たちの心意気を描く」といった選択もあったように思いますが、別ルートだったようです。
 前記のようなルートを選んだ場合、物語といたしましては「重い」ものとなったと思います。それこそ時代や女性の地位なども描かなくてはならなかったでしょうし、困難に対して桜花会の面々が争ったり挫折したりといったことも描かなくてはならないでしょう。
 全12話という制約の中でその道を選びますと、登場する全てのキャラを魅力的に描くことを犠牲にしなければならなかったでしょうし、う〜ん、悩ましいところでございます。
 本作はキャラクターが楽しそうに生きている様を描く事を優先しているようです。物語としては「軽い」印象になってしまいますが、「軽い」「重い」で作品の評価が変わる訳ではございません。少女たちが元気良く生きることを見せていただくだけで元気が貰える、それで十分。
 小梅。主人公だけに良い目も見れますが(笑)、貧乏くじも引かなければなりません。ですがあの状況で「まっ、いいか」と言えるのは桜花会では小梅だけなのも事実。そしてわずか8話しか消化していないのに、他のメンバーがあの位置にいたとしたらどんな反応だったかを容易に想像できてしまうことに、本作の緻密な構成の勝利だと考えております。
 来週も本来の目的からは外れたお話になりそうですが、そう見せかけて外堀を埋める作戦かもしれません(笑) このスタッフは侮れませんよ。