大正野球娘。 第3話『娘九つの場を占めて』

 いいなぁ・・・、プロのお仕事って、と感心させられっぱなしのエピソードでございました。描写の隅々に気を配る。見事でございます。
 例えば校庭の草むしりをする巴と静。黙々としかし着々と草をむしり続ける巴に対し、力のない静は全くむしれない。あるいは土運びをする小梅と晶子。テンポ良く軽々と往復する小梅に対し青息吐息な晶子。台詞も無い場面でキャラクターの個性を描写して視聴者に「うんうん、こういうキャラだよね」と納得させる説得力。無駄がございません。
 着々とかたちを整える「桜花会」。先週「基本はキャッチボール」と書きましたが、今週はきちんとそこから始まっておりました。先週のあれは(たぶん)野球の楽しさを知る事を優先したのだと納得。チームとして野球をしようと思えば基本からという描写にもいちいち納得させられました。
 唯一の不満は練習過程の時間経過が分かり辛かったことでしょうか。初めて野球をする女の子(しかもこの時代ですから野球に初めて触れる女の子の方が多いでしょうし)が、あそこまで上達するのはそれなりの難しさもあるでしょうし、その時間を見せていただきたかった。
 朝香中学との練習試合。「え〜、この段階で(晶子の「意地」の相手が所属する、ある意味ラスボスとの)試合?」と驚きましたが、きちんと大差負けの結末に好感。鏡子の泣き声がさらに高感度アップ(笑) 別に私が「S」だからでという訳ではなく、負けた時、きちんと悔しがるという描写も必要だと考えるからでございます。
 今の段階ではこれくらい差があるのだと見せておき、今後は彼女たちの成長の過程を見せてくれるということでしょう。王道、正統派でございます。
 ただ、男同士の野球ものであればそういう結末なのだと思いますが、本作は「女の子」が野球をするのですから「成長」にも違った意味があると思います。それが何なのかは最後まで見てから判断することにいたします。・・・とか書いておりますが、感激したらすぐ書いちゃうんだろうなぁ(笑)
 高原。役割としては男の子と女の子の間を繋ぐ重要なキャラだとは思うのですが、小梅に付く悪い虫は死ねばイイのに!(笑)