うみねこのなく頃に 第5話 『EpisodeI-Ⅴ fool's mate』

 かの高名な名探偵シャーロック・ホームズ氏の言葉に次のようなものがございまして、それは「不可能をすべて消去した後に残るものこそ、よしやいかにそれがある得べかざることであろうとも真実である」(うろ覚えです)というものでございます。
 これは「十の仮説のうち整合性のある九までが否定でき、残った一つが超常現象であった場合、それが真実である」という意味ではございません(笑) 考えられる全ての仮説というのが肝でして、十の仮説のしか立てられないことに注意を払いましょうという意味でございます。
 もしかすると十一番めの、いえもっと多くの仮説が潜んでいるかもしれない。だから簡単に結論を出してはいけませんという戒めだと思っております。ですから本作の場合、ベアトリーチェという存在を匂わせておいて、実は他の可能性があるのではないかと期待したところもございました。・・・推理ものであった場合なのですが。
 「六軒島魔女連続殺人事件」終了。瓶詰めの手紙は「そしてだれもいなくなった」へのオマージュでしょう(「六軒島編」自体がそうなのでしょうが)が、結局謎や手口については説明なし。推理ものともオカルトものとも判然としないままおしまいです。ある意味では潔いです(笑)
 推理もので「種明かし」をしないで視聴者を不安定な状態のまま放り投げるという終幕も選択肢のひとつだと思いますが(多分大ブーイングされるでしょうが)、本作はそれすらも取りませんでした。幕間でのメタ・フィクション(?)のお茶会には苦笑するしかございませんでしたが。
 戦人(の意識?)はベアトリーチェを認めていないようで、ここから別の物語が始まるようです。推理ものとして観ていた部分は否定されてしまい、オカルトものとしては中途半端な印象もあるのですが、ではつまらない作品かと問われると、今のところはそんなこともありません。
 新たに登場した「ベルンカステル」がこの物語でどのような役割を果たすのか、そしてこの魔女たちと戦うのは誰で、勝利条件はなにか等、吸引力はまだ健在ですので次回も楽しみでございます。