鋼の錬金術師 第18話『小さな人間の傲慢な掌』

 マスタングの反撃とロス少尉がシン国へ逃げ延びるお話。そんな中、エドが自分の置かれた状況や立場を見つめ直し決意を新たにするというエピソードも挿入。
 エドとアルの歩む道は厳しく長い。あるかないかも分からないものを求めて暗闇の中を手探りで歩くようなもの。そして自分たちが歩く事で周りの人間を傷つけ、あるいは死なせてしまうこともあるのだと気がついたある意味総集編的エピソードかと。
 それでいながら停滞するわけではなく、ただクセルクセス遺跡での一場面に留めておくあたりのバランスは秀逸だと思いました。さて、決意も新たにしたエドですが、前途は多難。今はまだ交わっていないマスタングの道と交わるときが、彼の歩む道の最大の障害でございましょう。
 それにいたしましても使い捨てではなく、必要に応じてエルリック兄弟の障害物として登場させる人物配置と、その登場人物を急場しのぎに使わない構成は見事でございます。
 「メイ・チャン」は登場してから殆ど使われておりませんが(今回エドとすれ違っておりましたが)、先に登場させておいて必要なときまで温存という措置、それは「リン・ラオ」も同様ですし、「スカー」などは今回でまた新たな因縁がエドとの間に作られるという念の入れよう。
 長いシリーズを意識したこうした配慮が、この作品を人気作品にしている一因なのだなぁと、今回も感心しながら鑑賞させていただきました。