獣の奏者エリン 第30話『四年目の冬』

 恒例の総集編。通常テレビアニメで総集編と申しますと、スケジュールに余裕がないのでですとか、資金的に不安なので安上がりに一本仕上げるといった理由を想像いたします(笑) 本当は長いシリーズだからここらで簡単におさらいをしておくかといった理由を信じれば良いのでしょうが、人間薄汚れてしまいますと建前の裏に真実を探してしまうようになってしまいます。
 大人の事情はともかく、本作の場合定期的に入る総集編は本来の意味の総集編としての役割と、来るべき次のステップの前の一呼吸としても必要になっております。今回はエリンが王獣学舎へ入学するところからリランとの絆を確かめ合い、人と獣(自己と他者)の係わり合いの根本を探求しようと決意するところまでをまとめたお話をエサル先生が振り返る形式で仕上げてありました。
 これは「母親」が愛娘の成長を今は亡き「父親」に語ると見ることも出来る訳でして、この「四年間」は仲間を得、リランと暮らしエリンにとって本当に幸せな時間でございました。そういった意味でも感慨深い総集編かと。ここで「父母」の語りがあったという事は、今後は父母の庇護から卒業するという意味合いもあるのでしょうし、もう誰も守ってはくれないけれど「激動の時」を自立したエリンが迎えるのだという示唆なのかもしれません。
 人は経験から学ぶ事ができるのだと考えますと、この時間が生きてくるエピソードもあるでしょうし、そうであると信じて次回を待ちたいと思います。