金田伊功氏のこと

 アニメーター金田伊功氏が心筋梗塞で死去したそうです。享年57歳。若すぎるだろう…。
 「WEBアニメスタイル・アニメ様365日」小黒祐一郎さん書かれておりますが、私も「ランデヴー」でその名前を知り、当時、明らかに他のアニメーターと一線を画す「異様な」アニメートに度肝を抜かれ、そして「こんなことができるんだ」と思い知らされたであろう日本全国のアニメファンのひとりとして残念無念でございます。
 金田さん以前に動きで驚かされたアニメやアニメーターがいなかった訳ではございません。ですが手塚氏の虫プロによって始まった日本のテレビアニメが「手抜き、時間と予算削減」という貧乏くさいところからスタート(それでも当時は驚いて観ていたものですが)してある程度進化し、しかし「アニメート」としての存在感が希薄にになるという袋小路に陥ったとき、その壁を軽々と超えて新しい地平を見せてくれたのが金田さんだったことを今でもはっきりと思い出せます。
 アニメーターとしての金田さんには「動きは凄いけれど、似せなくてはならないキャラデを無視している」という否定的なことを感じた時期もございますが、すぐに「いや、職人芸を見せてもらうだけで十分」と考えを改めたのも今となっては良い思い出です。
 今でも多くのアニメ作品で彼の遺伝子の欠片を見る事ができますから、彼のしたことはあの時代の仇花などではなかったのでしょう。今の時代のアニメがその制作体制の貧弱さにも拘らず、「綺麗な」作画に腐心しているのを見るにつけ、彼のようなアニメーターの出番は少なくなってしまったのだろうと感じるのと同時に、今こそ彼のような「動き」だけ(いや、レイアウトとか他にも色々あるんですけどね)でアニメファンを惹き付けたアニメーターが必要なのではと考えてしまいました。
 安らかにお休み下さい。…でもでもやっぱり早過ぎますよ。・゚・(ノД`)・゚・。