化物語 第二話『ひたぎクラブ 其ノ貮』

 原作は未読ですから「アニメ化不可能!」という惹句を見ても、「いやいや、そんなものはこの世にないでしょう」という感想をもっていました。アニメ化に限らず「映像化不可能」という言葉は「予算の関係で」を隠す言葉だと思っております。思ってはいたのですが、今回のエピソードを観ていると納得する部分もございました。なるほど、この作品をアニメ化するということは大変骨の折れる作業のようです。
 延々と繰り広げられるひたぎ忍野の会話。「会話劇」として観たらそれはそれで成立しているのかもしれませんが、多分原作小説とは違う仕上がりになっているのだろうと推測。小説を読んでおりませんので「思い込み」で書きますが、原作が成立しているのは文字から浮かび上がる情景、文字自体のキャッチボール、リズム、言葉遊びといった「字で書かれたものだけが持つ娯楽性」に特化されたもののような気がいたします。
 小説を読んで「イメージ」を思い浮かべるといった行為は多かれ少なかれ誰しもしていると思うのですが、この作品はその行為自体を徹底的に排除するよう書かれているのではないかと、…まあ、アニメを観て原作を推し量るなんぞは本末転倒な行為ですね(笑)
 ひたぎと暦がひたぎの家でCV斉藤千和さんと神谷浩史さん熱演による丁々発止の会話をしているシーンを観ていてそんな風に感じたのですが、確かにここでは「絵」の必要性はあまり感じられませんでした。ですが「絵」には「絵」の重要性もある訳でございまして、ひたぎの大胆な行動、それを受けての暦のあわてぶりは文字で何行も費やすより瞬時に伝えられますし、それは「会話」を繋ぐ大事な「間」の役割を果たしておりました。
 「主題」の会話はロングやイメージカットを多用し、「感情」は絵を動かして「魅せる」といった切り替えが見事に合致していたと思いました。うん、新房監督の独特な演出スタイルは賛否両論あるでしょうが、少なくともこの作品にとって、この監督を起用できたことは幸せなことだったと思います。
 オチ。なんともいいようのない非日常のシーンを受けてにしては少し弱かったように思えました。「クス」と笑える変えないか、難しいところです(笑)